退職後の健康管理について
在職中は、所属していた会社や当健保からの費用補助などで健康診断を受けたり、健康保持増進のための保健事業サービスをご利用いただいていたかと思います。退職後はどのように健康管理をおこなっていけばいいのか、わからない方もいらっしゃるかと思います。
このページでは退職後の健康管理についてご案内します。
年齢毎に健康課題は変化します
退職を迎えるころ、あなたの体調はいかがですか?体力の低下、腰痛や膝痛、発病や持病の重症化など、いろいろな身体の変化を感じているのではないでしょうか? 75歳以上の「後期高齢者」になったとき、元気で過ごせている自分の姿を想像してみてください。
退職後のこれからの過ごし方がこの先10年、15年に大きく影響します。

- *1 メタボリックシンドローム:内臓脂肪に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさることにより、心臓病や脳卒中などのリスクが増す状態。
- *2 サルコペニア:高齢になるに伴い、筋肉の量が減少していく現象。
25~30歳ごろから進行が始まり、生涯を通じて進行する。 - *3 ロコモティブシンドローム:骨や関節の病気、筋力の低下、バランス能力の低下によって転倒・骨折しやすくなることで、自立した生活ができなくなり、介護が必要となる危険性が高い状態。
- *4 フレイル:身体的脆弱性などの影響により、生活機能が障害され、精神心理的脆弱性などが出現し、自律障害や死亡を含む健康障害を招きやすいハイリスクな状態ではあるが、適切な介入・支援により生活機能の維持向上が可能な状態。
退職後から気を付けたいこと
① がん ~定期的な健診と生活習慣の見直しを~
悪性腫瘍、いわゆる「がん」は、60歳以上において、死因別死亡率が高い疾患です。
胃がんの原因といわれるヘリコバクターピロリや、子宮頸がんの原因といわれるヒトパピローマウイルスなどの「感染」による悪性腫瘍や、「遺伝」によるもの、その他、喫煙、食生活(塩分・脂質のとりすぎ、野菜・果物不足)や運動不足などの生活習慣が悪性腫瘍と関係しているといわれています。
日々の運動や食習慣など、健康的な生活習慣を心がけることが重要です。
また、がん検診を受け、早期発見・適切な治療に努めることも重要です。
- 参考リンク
② 循環器疾患 ~心疾患、脳卒中の予防を~
がんの次に、60歳以上の死因別死亡率が高い疾患は、循環器に関連した疾患です。
循環器に関連した疾患は、生活習慣に起因することが多いです。
定年後は、ライフスタイルを変えるよいチャンスです。
時間にも余裕ができるので、ウォーキングを始めるなど積極的に体を動かし、栄養バランスのとれた食事をゆっくり楽しみましょう。また、積極的に社会に参加をしたり、自分なりの楽しみを持つなど、心と体を健康に保つ生活に変えていきましょう。
健康診断で、もし、受診が必要だと判断された場合は、放置せず、なるべく早く医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。
③ ロコモティブシンドローム ~要介護にならない体づくり~
運動器の障害をきっかけに日常生活の自立度が低下し、要介護の状態や要介護のリスクが高まる状態のことを指します。運動習慣を持ち、今ある筋力を保つことが大切です。
④ 認知機能の低下
加齢とともに認知機能が低下すると、物忘れは良くあることかもしれません。
例えば「昼食に何を食べたかを忘れる」「人や物の名前が出てこない」など、体験したことの一部を忘れたが体験したこと自体は覚えており、物忘れをしているという自覚があるのが生理的健忘です。
対して病的な物忘れの場合、「昼食を食べたこと自体を忘れる」「数分前のことが思い出せない」など、体験そのものを忘れてしまいます。本人には物忘れをしているという自覚がないのも大きな特徴です。この場合、加齢によるもの以上の認知機能の低下「認知症」が疑われます。 「認知症」は、「軽度認知障害(MCI)」を経て認知症にいたります。「軽度認知障害(MCI)」は放っておくと「認知症」に進行しますが、適切な予防をすることで健常な状態に戻る可能性もあります。早めの対処が必要です。
認知症の発症・進行は生活習慣病のコントロール状況や運動、食事、そして周りとのコミュニケーションの状況に影響されることがわかっています。充実した暮らしの中で、予防や進行を遅らせるようにしましょう。
面倒でも年に1度、健診は必ず受けましょう!
体調に異変があったら早めの受診を!
健診、人間ドックの受診割合は、60代で一気に下がります。これまで、所属していた会社や当健保が提供していた健診がなくなるからです。
退職後は自己責任で健診を受けなくてはなりません。
「病院に通院しているから安心!」と思っている方もいらっしゃると思います。
しかし、それは治療している疾病に限定されている可能性もあります。
身体全体をチェックするためには、健康診断が有効です。
介護を必要としない、健康な老後を過ごすためにも、定期的に健診を受けるようにしましょう!
- 参考リンク
退職後、任意継続に加入される方は、健保のサービスを在職中と同様にご利用いただけます(出産手当金と傷病手当金を除く)。
退職後、市区町村の国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入される方については、在職中に会社や当健保が提供していた 「健康診断をはじめとする健康維持のためのさまざまなサービス」 が利用できなくなります。
市区町村や民間の各箇所が健康管理のためにさまざまなサービスを実施しています。
ご自身やご家族の健康のために、活用できるサービスを把握し、活用しましょう。