家族の加入について
健康保険では、被保険者だけでなく、被保険者に扶養されている家族にも保険給付を行います。この家族のことを「被扶養者」といいます。被扶養者として認定されるためには、「国内居住」のうえ、「家族の範囲」と「収入」について一定の条件を満たしている必要があります。
- POINT
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- 被扶養者となるためには、健康保険組合の認定を受けなければなりません。
- 被扶養者の異動があった場合は、5日以内に届出をしてください。
被扶養者の認定基準
被扶養者として認定されるためには、健康保険法で定める親族等の範囲(下図に示した家族の範囲)に含まれた上で、次の要件をすべて満たしていることが必要です。
- (1)主として被保険者の収入によって生計を維持していること。
社会通念に照らして、被保険者に扶養されている実態があると認められること。 - (2)年間収入が130万円未満、月額108,334円未満(60歳以上又は障害者の場合は180万円未満、月額150,000円未満)で、かつ被扶養者の収入月額が被保険者の収入月額の1/2未満であること。
- ※同居していない両親等を被扶養者とする場合(両親等の扶養認定対象者が同一の世帯(主)に属していない場合)は、両親等の収入月額を上回る仕送りを振込によりしていることが必要です。
- ※年度内に19歳以上の方については、年1回、年収がないか又は年間収入が130万円未満(60歳以上又は障害者の場合は180万円未満)であることを示す所得証明書や直近の年金通知書を提出して頂きます。
- (3)パートとして働いている場合は、原則として、勤務日数及び勤務時間がその職場の正社員の3/4未満、かつ勤務時間が週30時間未満であること。
- ※パートであっても勤務日数又は勤務時間がその職場の正社員の3/4以上のとき、あるいは勤務時間が週30時間以上であるときは、原則として、その職場の健康保険の被保険者となります。
- ※短時間労働者適用拡大に該当する職場で働いている場合は、①週の所定労働時間20時間以上、②賃金の月額が8.8万円以上、③雇用期間が継続して2ヵ月を超えて見込まれること、④学生でないことの4つの条件に該当する場合には、原則として、その職場の健康保険の被保険者となります。
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(4)国内居住要件
日本国内に住所を有していない場合、原則として被扶養者の認定はされません。
(海外留学、外国に赴任する被保険者に同行する被扶養者を除く)
- (5)認定条件を満たしているとしても認定対象者の収入がある場合は、扶養認定する事により、被保険者の家族の生計バランスの維持が困難であると判断した場合、認定を認めない場合がある。ただし配偶者・子(18歳未満・学生)は対象から除く。
「年収の壁」に対する政府の施策について(2023年10月より)
- 参考リンク
「年収の壁」とは
「年収の壁」とは、税金や社会保険料が発生する基準となる年収額のことです。
健康保険等の被扶養者がパートタイマー等で働き、年収が一定以上になると、被扶養者ではいられなくなり、健康保険や国民健康保険等の被保険者となりますが、そうなると社会保険料の負担が発生して、結果として手取り収入が減少する場合があります。
社会保険における「年収の壁」は、企業規模の違い等により、年収106万円と年収130万円の2つがあります。
(出典:「年収の壁」への当面の対応策(厚生労働省))
年収106万円の壁 | 従業員51人以上の企業、賃金月額88,000円以上(年収:約106万円以上)等、一定の条件を満たす場合は、社会保険料が発生。 |
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年収130万円(※)の壁 | 被扶養者の認定基準を満たさなくなるため、条件を問わず、社会保険料が発生。 |
- ※60歳以上または障害者年金の受給要件に該当する程度の障害者は180万円
年収130万円の壁に対する対応
被扶養者認定は前年の課税証明書等の確認で行われていますが、人手不足による労働時間延長等に伴い一時的に年収が130万円以上となる場合は、事業主の証明を添付することにより、収入見込額が130万円以上であっても、引き続き被扶養者の認定を受けることができるようになります。
(同一の者について原則として連続2回までを上限とします)
年収106万円の壁に対する対応
社会保険適用促進手当(※)の支給等、労働者の収入を増加させる支援を行った企業に対して一定期間助成が行われます。
※社会保険適用促進手当
短時間労働者への被用者保険の適用を促進するため、非適用の労働者が新たに適用となった場合、当該労働者の保険料負担を軽減するために支給することができる手当です。
社会保険適用促進手当は、給与・賞与とは別に支給するものとし、保険料算定の基礎となる標準報酬月額・標準賞与額の算定対象に考慮しないこととされます。
- ※対象者:標準報酬月額が10.4万円以下の方。
- ※報酬から除外する手当の上限額:被用者保険適用に伴い新たに発生した本人負担分の保険料相当額。
- ※最大2年間の措置。
被扶養者認定における国内居住要件の追加について
2020年4月より、健康保険の被扶養者認定の要件に、国内居住要件が追加されました。日本国内に住所を有していない場合、2020年4月1日以降は、原則として被扶養者の認定はされません。(海外留学等、一定の例外あり)
国内居住要件の考え方について
住民基本台帳に住民登録されているかどうか(住民票があるかどうか)で判断し、住民票が日本国内にある方は原則、国内居住要件を満たすものとされます。
- ※住民票が日本国内にあっても、海外で就労している等、明らかに日本での居住実態がないことが判明した場合は、国内居住要件を満たさないと判断されます。
国内居住要件の例外
外国に一時的に留学している学生等、海外居住であっても日本国内に生活の基礎があると認められる場合は、例外として国内居住要件を満たすこととされます。
【国内居住要件の例外となる場合】
- ① 外国において留学をする学生
- ② 外国に赴任する被保険者に同行する者
- ③ 観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者
- ④ 被保険者が外国に赴任している間に当該被保険者との身分関係が生じた者
- ⑤ ①から④までに掲げるもののほか、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者
国内居住者であっても、被扶養者と認められない場合
医療滞在ビザで来日した方、観光・保養を目的としたロングステイビザで来日した方については、国内居住であっても被扶養者として認定されません。
被扶養者の異動(変更)があったら
結婚や出産などにより被扶養者が増えたときや、就職や別居、死亡などで、それまで被扶養者に認定されていた家族が被扶養者の認定基準を満たさなくなった場合は手続きが必要です。
扶養開始日(認定日)について
扶養事由発生日から1か月以内に健保組合へ書類が到着すれば、扶養事由発生日が扶養開始日(認定日)となります。ただし、必要書類に不備や不足がなく、当組合が認めた場合に認定となります。
また、扶養事由発生日から1か月以上経過して健保組合に書類が到着した場合は、遡り認定はできません。健保組合に書類が到着した月の1日を扶養開始日(認定日)とします。